札幌の派遣会社の残業代の扱いについて
派遣就労はライフスタイルに合った働き方を実現しやすいことから人気が高く、札幌の派遣会社にも多くのスタッフが登録しています。ただ、通常の正社員やアルバイトなどとは適用されるルールが若干異なるため、派遣社員として働く前に就業規定や働き方に関する知識を身につけておく必要があります。残業代の取扱いも、そうしたものの1つです。
労務管理と給与計算は別の場所で行われる
派遣就労はまず派遣会社に社員として登録を行い、その派遣会社から紹介を受けて市中の企業や商店、各種団体などに赴いて仕事をするというのが一般的なスタイルです。そのため日常的な業務命令は派遣先の企業等から出されますが、身分自体はあくまでも派遣元の会社に属します。
給与についても、実際に就労している企業等から派遣会社に一旦「人材派遣費」「人材受入費」などの名目で支払われた費用の中から、改めて派遣会社から社員に対して支給されます。その際、派遣会社は当然ながら勤務実績についても派遣先の企業等から報告を受けます。
札幌では派遣社員は日給制または時給制のケースが多いため、給与の計算期間内(通常は1か月)の稼働日数や総労働時間などが集計・報告されます。派遣会社はそれに基づいて給与を計算し、社員に支給します。つまり派遣社員にあっては、労務管理と給与計算を行う主体がそれぞれ別であるということになります。この点は、一般社員やアルバイトなどと大きく異なるところです。
残業をするには協定の締結が必要
派遣就労を行う場合は社員を送り出す側と受け入れる側との間で、その社員の配属される部署や仕事内容などについての事前協議を行います。日給や時給の単価、1日当たりの労働時間などについても取り決めが行われ、実際に働き始めた後はその取り決めに基づいて給与が計算されます。
事前の取り決めにない事態が発生した場合、たとえば業務多忙のため残業や休日出勤などが必要になった場合はどうするかというと、これには別の取り決めが必要となります。労働基準法36条に基づくことから「36(サブロク)協定」という通称で呼ばれている取り決めがこれに当たりますが、これは会社間ではなく雇用者と労働者の間で結ばれる協定です。
この36協定が結ばれていれば、受け入れ先の企業等は派遣社員に時間外労働を命じることができますし、また派遣社員は残業代を受け取ることができます。深夜労働や休日出勤などの場合も、事業はまったく同じです。
協定なしに残業すると取り決め違反に
36協定についてもう少し詳しく説明しますと、この協定は受け入れ先の企業等でなく、派遣会社と社員の間で結ばれます。札幌の派遣会社では、最初にスタッフとして登録し、雇用契約書を取り交わす際に同時に協定を結ぶケースが多く見られます。
ただし、家事との両立を図るなどの理由で時間外労働を行うことが難しい時は、結ばない選択も理論上は可能です。この協定を結んでいる社員であれば、受け入れ先の企業が残業を命じることができます。しかし結んでいなければ命じることはできませんし、仮にやむを得ず残業したとしても残業代は支払われません。協定を結んでいない社員が残業させられそうになった場合は、直ちに登録している派遣会社に連絡するのが望ましいです。
なお、36協定を結んだ社員が残業を行った場合の残業代の計算方法は、一般の社員とまったく同じです。通常の時間外労働なら25%以上、22時から翌5時までの深夜労働なら50%以上の割増賃金が支払われます。この数字は札幌に限らず、全国共通です。
派遣社員が残業をする際は、まず派遣会社と時間外労働に関する協定を結んでいる必要があります。この協定があれば、受け入れ先は一般社員と同様に残業を命じることができますし、残業代の扱いもまったく同等となります。